法律・リーガル向けGEOとは|AIが引用する事務所のサイトと公的なサイト
法律事務所についてAIに聞くと、引用元の半分ほどは事務所のサイトでした。法テラスのような公的なサイトの割合は、調べた5業界でいちばん高くなっています。
弊社が法律事務所についての30問をChatGPTとGeminiに6回ずつ聞いた調査では、引用元のうち事務所や会社の自社サイトが各回47.8〜51.9%、国・自治体・学会・業界団体・辞典などの公的なサイトが各回13.7〜19.2%でした。公的なサイトの割合は、調べた5つの業界でいちばん多くなっています。ChatGPTは、30問のうち9問で法テラスを6回とも引用していました(2026年9月。法律事務所を含む5業界の情報源の調査)。
聞いたのは、「離婚の相談をしたい人は、法律事務所をどう選べばいいですか?」のような、法律事務所について知りたいこと・比べたいこと・選びたいことを聞く30問です。この記事では、この調査と、弁護士・税理士・司法書士・社労士・行政書士を含む士業の30問の調査をあわせて使っています。
この記事で扱う範囲法律事務所の質問でAIが引用していたサイトの種類/おすすめの事務所を聞く質問と地図の情報/事務所を探すサイトや士業以外の会社/分野を絞った事務所についての米国の見方/最初に見直すもの(AIに聞く質問の選び方は「法律・リーガル向けのクエリ設計」で扱います)
公的なサイトが、ほかの業界より多く引用されていた
5業界の調査では、引用元を種類ごとに分けて数えました。比べるために、化粧品の数字も並べます。
法律事務所の30問・AIの引用元の種類ごとの割合(6回それぞれの割合の幅。2026年9月)
| 引用元の種類 | 法律事務所 | 化粧品(比べるため) |
|---|---|---|
| 企業・事務所の自社サイト | 47.8〜51.9% | 43.9〜52.0% |
| 公的機関・学会など | 13.7〜19.2% | 8.4〜10.5% |
| 比較・ランキング | 10.9〜15.9% | 3.1〜4.7% |
| 利用者の投稿(口コミ・SNS) | 0.4〜1.3% | 8.0〜12.4% |
報道・記事メディア、アフィリエイト、未分類の行は省いています。出典:株式会社FID/Genview「5業界の情報源の調査」2026年9月。
口コミやSNSは1%前後しかなく、化粧品とは逆の形でした。公的なサイトが多いことから、私は、法律の質問では、AIが事務所のサイトを公的な窓口の説明と並べて読んでいると見ています。事務所のサイトで制度の説明を書くなら、公的なページと食い違っていないかを確かめたうえで、「その制度を使うとき、事務所に相談すると何が分かるか」まで書いておくと、確かめた実験はまだありませんが、回答の中で事務所のページに役目が生まれやすくなると考えています。
弁護士などのおすすめを聞いた3問で、ChatGPTの引用はGoogleマップだった
士業の30問のうち、弁護士・司法書士・行政書士のおすすめを聞いた3問では、ChatGPTが付けた引用が、すべてGoogleマップのURLでした(2026年8月。士業30問の調査)。開くと、事務所のサイトではなく、地図の上の事務所の情報が出てきます。ただ、弁護士の1問では、地図が指していた4つの事務所のうち2つが、ニューヨークとシアトルの事務所でした。司法書士と行政書士の2問は、日本の事務所です。
この3問で、ChatGPTの引用元として示されたのは、地図に登録された情報でした。Googleマップに出ている事務所の名前、取り扱う分野、営業時間、連絡先が今の内容になっているかは、サイトと同じように確かめておきます。どの質問でそうなったかは、法律・リーガル向けのクエリ設計に質問ごとに書いています。
事務所を探すサイトや、会計ソフトの会社も引用元に並ぶ
士業の30問では、Google検索の上位10位に出た比較サイトのうち52.0%が、同じ質問でAIにも引用されていました。15業界全体の44.7%を上回ります。ここでの比較サイトは、ベンナビ相続や比較ビズのような、事務所を探して比べるためのサイトです。上位に出たのは25サイトと少ないので、割合は動きやすい値です(士業30問の調査)。
士業ではない会社も並びました。30問全体で、Geminiは会計ソフトの弥生を10問、マネーフォワード クラウドを8問、freeeを7問で引用しています。税理士の選び方や会社設立の質問で、税理士事務所のページと並んで出てきた引用元です。
検索で比べている相手が同業の事務所だけだと、AIの引用元に並んでいる相手を見落とします。事務所を探すサイトに載っているなら、その掲載の内容も、AIが説明に使う材料になることがあります。
分野を絞った事務所に機会がある、という米国の見方
米国の法律マーケティングの記事では、AIで弁護士を探す人が増えたことで、専門分野に絞った中規模の事務所に機会が生まれる一方、総合型の大手の事務所には圧力がかかっている、という分析が出ています。Law360「AI-Powered Search Demands New Legal Marketing Playbook」(2026年)で、PR会社5WPRのRonn Torossian氏が述べているものです。
これは米国の現場の見方で、弊社の調査で確かめたことではありません。それでも、取り扱う分野ごとに、誰がどんな相談をすればよいかを書いたページは、事務所の大きさにかかわらず作れます。日本でも試す価値のある方向だと私は考えています。
よくある質問
口コミが少ない事務所は、AIに不利ですか?
弊社の5業界の調査では、法律事務所の30問で、口コミやSNSなど利用者の投稿は、引用元の0.4〜1.3%でした。AIが多く引用していたのは、事務所のサイトと公的なサイトです。口コミの数を増やすより先に、事務所のサイトと地図の情報を見直すほうが、AIが読んでいるものに近いと言えます。
弁護士会のサイトも、AIに引用されますか?
引用されています。士業の30問では、東京弁護士会のサイトが、Google検索の上位10位に入っていない質問で3問、Geminiに引用されていました。公的なサイトと同じように、AIが説明の材料にする相手の1つです。
税理士や司法書士の事務所にも当てはまりますか?
当てはまる部分があります。士業の30問は、税理士・司法書士・社労士・弁護士・行政書士の質問で作りました。税理士の質問では、地図ではなく、Geminiが会計ソフトの会社のページを多く引用していました。
Googleマップの事務所の情報と、分野ごとのページを見直す
まず、Googleマップに出ている事務所の情報(名前・取り扱う分野・営業時間・連絡先)が今の内容かを確かめてください。次に、取り扱う分野ごとのページを開き、制度の説明が法テラスや裁判所などの公的なページと食い違っていないかを見て、その分野で事務所に相談すると何が分かるか、費用と流れがどうなるかを書き足します。事務所を探すサイトに載っているなら、その掲載の内容も同じように見直します。
どの質問でAIの引用元を確かめればよいかは、法律・リーガル向けのクエリ設計で、弊社が実際に聞いた士業の30問をもとに整理しています。