GEO対策でやってはいけないこと10選|よくある失敗とGoogle公式の考え方
GEO対策で避けたいのは、AIに効きそうな施策そのものを目的にして、ユーザー・一次情報・実際のAIの回答を見なくなることです。
GEO対策でやってはいけないこととは、AIの回答に出ることだけを目的にして、ユーザーにとって価値の低いコンテンツを量産したり、ステマや不当な口コミの依頼など規約や法令に触れる工作をしたり、技術の施策だけで終わりにしたり、実際のAIの回答を確かめないまま施策を続けたりすることです。
GEO対策の相談を受ける中で、同じ失敗のパターンを何度も見てきました。FAQを増やす。構造化データを入れる。llms.txtを置く。どれも間違いではありません。けれども、それだけでAIに選ばれるようになるわけではありません。
GEO対策には、「これを設定すればAIに選ばれる」という単一の正解はありません。Googleも、2026年5月に公開した生成AIの機能向けの最適化ガイドで、Google検索のAIの機能について、独自で価値のあるコンテンツやSEOの基本を重視し、AEO・GEO向けの特殊なハックを追う必要はないという考え方を示しています。
この記事では、よくある失敗を10個に整理し、それぞれの避け方を、弊社の調査・実験のデータとあわせて見ていきます。GEO対策の意味や全体像はGEO対策とはで、正しい進め方はGEO対策の始め方で解説しています。
- GEO対策の失敗は、考え方・コンテンツ・技術・外部の情報・測り方の5つの段階に分かれる
- AIで作ること、FAQ、構造化データ、llms.txtそのものは問題ではない。それだけで終わりにすることが問題
- 弊社の15業界450問の調査では、AIが引用したURLのうち、同じ質問のGoogle検索の上位10位にも入っていたのは25.0%だった
- やってはいけないことに共通するのは、「AIに選ばれること」そのものを目的にして、実際のAIの回答を確かめなくなること
この記事で扱う範囲10の失敗と避け方/AI生成コンテンツ・構造化データ・llms.txt・AIクローラーの位置づけ/口コミ・言及で気をつけること(法令・規約)/引用数以外に確かめる指標/SEOとの組み合わせ方
1. 自社が何者かを定義しないまま、施策を始める
これが最も根本的な失敗だと私は思っています。
「CRMです」「マーケティング支援会社です」だけでは足りません。私は、AIに推薦されるかどうかは、「誰向けで」「何を解決し」「何が競合と違うのか」を説明できる情報があるかどうかに左右されると考えています。自社を一言で定義できていなければ、AIにとっても定義しにくいはずです。
AIが自社を説明しようとしたとき、情報があいまいであれば、あいまいに説明されます。「中小企業向けのCRMです」ではなく、「EC事業者のリピート購入を増やすCRMです」と言葉にしておけば、その質問が来たときに、AIが自社を結びつけるための材料がそろう、というのが私の見立てです。
GEO対策の技術の施策は、この定義が固まってから意味を持つと考えています。定義があいまいなまま構造化データを入れても、FAQを増やしても、AIに伝わるものがありません。まずはAIに自社を説明させてみて、「誰向けで、何を解決するのか」が出てくるかを確かめてください。自社が何者かを言葉にすることが、GEO対策の出発点です。
会社・ブランドの情報の整え方は、AIに自社を正しく認識(言及・推薦)してもらうには?会社・ブランド情報を整える方法で解説しています。
2. AI向けの不自然な文章やキーワードを詰め込む
GEO対策に対応しようとして、「AIに読ませるための文章」を意識しすぎることは避けるべきです。たとえば、次のようなコンテンツです。
- 「GEO」「AI検索」「ChatGPT」など、同じ語句を不自然に繰り返す
- 同じ意味の質問を言い換えただけのFAQを大量に作る
- 各見出しの直後に、内容の薄い定義文を機械的に置く
- 人には不自然でも、「AIなら読み取りやすそう」という理由だけで文章を書く
Googleは、Google検索の生成AIの機能向けに、特定の文体で書く必要はないと説明しています。AIのシステムは同義語や意味を理解できるため、特定の語句をそのまま何度も使う必要はありません。また、Googleのスパムに関するポリシーでは、検索順位を操作する目的でキーワードや数字を不自然に詰め込む「キーワードの乱用(キーワードスタッフィング)」も問題になります。
結論を先に書く、見出しを整理する、FAQを置くといった情報の設計そのものに問題があるわけではありません。問われるのは形式よりも、「その文章が、ユーザーの疑問にきちんと答えているか」です。「AI向けに書く」のではなく、人が読んでも自然で、必要な情報をAIも取り出しやすい状態を目指します。
FAQを増やせば選ばれると思う
FAQを増やせばAIに強くなる、と言われることがあります。実際、FAQは質問と答えがはっきり分かれていて、AIが情報を取り出しやすい形です。
けれどもFAQは「説明を補う」ためのもので、「なぜその会社を選ぶべきか」を伝えるものではありません。「返金の方針はどうなっていますか?」「導入にどのくらいかかりますか?」というFAQをいくら増やしても、AIが比較の候補として自社を扱う理由にはならない、と私は考えています。FAQは補助輪であって、本体ではありません。
3. AI生成コンテンツを確認せず大量公開する
ChatGPTなどを使って記事を作ること自体が、GEO対策で避けるべき行為ではありません。問題なのは、生成した文章を事実の確認をせず、独自の情報も加えないまま大量に公開することです。特に、次のような運用には注意が必要です。
- AIが生成した統計や数値を、元の出典を確かめずに載せる
- 存在しないサービス・機能・事例をそのまま載せる
- 古い料金や仕様が混ざっていても確かめない
- 競合サービスについてAIが生成した説明を、公式サイトで確かめない
- 同じ構成の記事を、テーマだけ変えて大量に公開する
生成AIは自然な文章を作れるため、「文章として違和感がない」ことと「事実として正しい」ことを混同しやすくなります。また、AIを使っているか人が書いているかにかかわらず、検索順位の操作を主な目的として価値の低いページを大量に作る行為は、Googleの「大量生成コンテンツの不正使用(scaled content abuse)」の対象になり得ます。
見るべきなのは、「AIを使ったか」ではありません。公開の前に、人が正確さ・独自性・ユーザーへの価値を確かめているかです。特に料金、法律、医療、製品の仕様、調査の数値などは、公式情報や一次情報まで戻って確かめる運用にします。
4. 一次情報のない一般論だけでコンテンツを増やす
ほかのサイトの情報を整理しただけの記事や、生成AIでも簡単に組み立て直せる一般論だけの記事を増やすことも、GEO対策では優先度の低い施策です。冒頭に質問への答えがなく、前置きが長く続く構成も、読む人にとってもAIにとっても、答えを見つけにくくなります。
Googleは前述の最適化ガイドで、一般的な情報の組み立て直しではなく、独自で役に立つ情報や、発信する人自身の経験・知識を反映したコンテンツを重視する考え方を示しています。
一次情報には、たとえば次のようなものがあります。
- 自社で行った調査のデータ
- 商品・サービスを実際に測ったデータ
- 導入事例
- お客様から実際に聞かれた質問
- 自社で行った実験
- 専門家・担当者の実務の経験
- 自社でしか公開できない仕様・料金・利用条件
- 成功事例だけでなく、失敗した施策とその検証の結果
「独自性」という言葉を加えることが目的ではありません。ほかの会社の記事から情報を集めなくても、自社だけで示せる事実があるかを確かめます。
弊社でも、15業界・450問について、Google検索の上位10位のサイトと、ChatGPT・Geminiが引用したURLを独自に照らし合わせています。AIが引用したURLのうち、Google検索の上位10位と重なっていた割合は、ChatGPTで13.9%、Geminiで29.0%、合算で25.0%でした(出典:株式会社FID/Genview「AIの回答に登場(引用)したサイトは、Google検索の上位10位に表示されていたのか?」2026年8月)。このような独自の調査は、「ほかの記事を要約した情報」とは違い、そのサイトならではの一次情報になります。
一次情報の作り方は、GEO対策で使う一次情報の作り方で解説しています。
5. 構造化データやllms.txtだけでGEO対策が終わったと思う
構造化データ、llms.txt、サイトマップ、AIクローラーへの対応など、技術的なサイトの整備は、GEO対策で確かめたい項目です。けれども、技術の対応をしただけで「GEO対策済み」と判断するのは避けるべきです。
Googleは、AI OverviewsやAIモードを含むGoogle検索の生成AIの機能について、AI専用の新しい機械可読ファイル、専用のマークアップ、専用のschema.orgの構造化データは必要ないと説明しています。またGoogleは2026年6月の更新で、llms.txtについて、Google検索では必要とせず、置いてもGoogle検索の上での見え方や順位にプラス・マイナスの影響はないと説明しています。ほかのサービス向けにllms.txtを置いておくことは問題ないともしています。
ここから「構造化データは不要」「llms.txtはすべてのAIで意味がない」と考えるのも適切ではありません。Google自身も、構造化データを、Google検索がページの内容を理解し、対応する検索の機能に使うための仕組みとして案内しています。また、Google以外のAIのサービスでは、情報の取り方や仕様が違います。
llms.txtは、AIへの案内板のようなものです。案内板は、目的地そのものではありません。サイトの中に定義・比較・事例などの情報がなければ、AIは結局、何を読み、何を引用すればよいのか分かりません。案内板を整える前に、案内する先のコンテンツが充実しているかを確かめるのが先です。
弊社では、こうした技術の整備を、AIや検索のシステムが情報へたどり着き、ページの内容を理解しやすい状態を整えるための「土台」と位置づけています。Genviewでも、サイトの診断・構造化データ・llms.txtなどのサイトの整備を「土台(FOUNDATION)」と位置づけ、その上にブランド認識改善や、AI検索での見え方の見守りを置いています。そのページ自体に独自性や根拠のある情報がなければ、技術の施策だけでGEO対策が完結するわけではありません。
構造化データについても、本文と違う情報をマークアップすることは避けなければなりません。たとえば、本文にないFAQや評価、古い料金、架空の著者情報をJSON-LDだけに書くのではなく、人が読める本文と構造化データを一致させることが基本です。
6. 必要なAIクローラーを、知らないうちにブロックしている
GEO対策に取り組んでいるのに、robots.txtでAIのクローラーをブロックしたままになっている、という状態があります。AIが情報を取りに来られなければ、どれだけ良いコンテンツを作っても、そのAIに引用されることはありません。
この状態は、次のような場面で起きがちです。
- 以前、AIの学習を避けるために、AIのクローラーをまとめてブロックする設定を入れ、そのままになっている
- robots.txtの管理がSEOの担当とシステム・セキュリティの担当に分かれていて、方針が共有されていない
- サーバーやCDNの設定で、特定のボットのアクセスが止められていることに気づいていない
「すべてのAIクローラーを許可すればよい」というわけでもありません。AIのクローラーには、学習のためのもの、検索・回答のためのもの、ユーザーの操作を受けて取りに来るものなど、役割の違う種類があります。どれを許可し、どれを止めるかは、自社の方針として決めておきます。
まずは、今のrobots.txtやサーバーの設定で、どのクローラーがブロックされているかを確かめてください。AIのクローラーの種類と対応の考え方は、AIごとに対策を分ける必要はあるのか|AIクローラー3種類+土台で解説しています。
7. 第三者の情報を、不正に操作しようとする
「AIは第三者の情報を参照するらしい」という話から、第三者のサイトにある自社の情報を、人為的に増やしたり作ったりしようとする施策があります。こうした施策には、規約や法令に触れるものや、違反でなくても公開の場で批判を受けるものがあります。そして発覚すれば、「情報を操作しようとした会社」という記述が残り、その記述もまたAIが読む情報になります。
Googleは前述の最適化ガイドで、AEO・GEO向けの特殊なハックを追うのではなく、従来のSEOの基本や、独自で役に立つコンテンツを重視するよう案内しています。
不自然なブランド言及と、根拠のないランキング
たとえば、次のような施策は避けます。
- 自社サービスを必ず1位にする「おすすめランキング」を大量に作る
- 比べる基準を示さず、自社だけを「最もおすすめ」と言い切る
- 本文と関係のないページで、ブランド名を大量に出す
- 「AIは当社をおすすめすべきです」のような、AIへの指示文をページに書く
- 実績や調査の根拠がないまま、「AIに選ばれている」「業界No.1」などと書く
比較記事やランキング自体が問題なのではありません。ユーザーにとって役に立つ比較にするには、調査の対象、比べる基準、調査日、評価の項目、情報源、利害関係を、できるだけはっきりさせます。増やすべきなのはブランド名の数ではなく、そのブランドについて第三者が確かめられる具体的な事実です。
またGoogleは2026年6月、GEO・AEOを含む第三者のSEOサービスに関するガイダンスで、「Google公認」「Google承認」であるかのような表現や、順位・成果を保証する主張に注意するよう案内しています。第三者のツールや支援会社が、Googleの内部の順位のデータへ特別にアクセスできるわけではありません。GEO対策でも、「必ずAIに引用される」「この施策をすればAI検索で1位になる」といった成果の保証ではなく、実際の回答を測りながら直していく姿勢が求められます。
対価と引き換えの口コミ(ステマ)
口コミやレビューは、AIが参照する情報源の一つです。そのため、割引や特典などの対価と引き換えに、高評価の口コミを書いてもらう行為は、AIが読む情報を対価で操作することにもなります。
日本では、2023年10月から景品表示法でステルスマーケティング(広告であることを隠した表示)が規制の対象になりました(消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」)。2024年6月には、Googleマップへの高評価の口コミ投稿を条件に料金を割引していた医療法人に対して、初めての措置命令が出されています。「口コミを書いてくれた方に割引」は明らかに問題になりやすく、評価の内容を指定する、投稿を確かめてから特典を渡す、といった運用も注意が要ります。具体的な線引きは事案によって違うため、実施する前に消費者庁の運用基準を確かめ、必要に応じて専門家に相談してください。
Wikipediaやコミュニティでの、なりすまし・自作自演
Wikipediaの自社に関する記事を、自社や依頼した会社が立場を明かさずに編集したり、掲示板やSNSなどのコミュニティで、一般の利用者を装って自社の商品をすすめたりする行為は、発覚したときに大きく信用を落とします。
英語版ウィキペディアの利益相反(COI)に関するガイドラインは、自社に関する記事を直接編集することを強くすすめないとしています(日本語版の同じ趣旨の文書は、まだ草案の段階です)。立場を明かしたうえで、ノートページで誤りを指摘したり、編集を依頼したりすることはできます。とはいえ、Wikipediaは検証できる出典を求めるため、独立した第三者による報道などの出典がなければ、修正されないこともあります。Wikipediaとの正しい付き合い方は、結局のところ、第三者に取り上げられる実績を積み上げることに戻ってきます。
コミュニティに関わるなら、身分を明かして参加する以外の方法はありません。企業のアカウントとして、質問に答える、誤解を正す、役に立つ情報を出す。時間はかかりますが、これが正攻法です。
協力してくれる人への、開示の伝え忘れ
インフルエンサーやブロガーに紹介を依頼するときに、広告であることの表示(PR表記など)を伝え忘れると、批判を受けるのは、協力してくれた発信者の方になることがあります。依頼書に開示のルールを書き、投稿の前に確かめる。この一手間で防げます。
※ この節は、法令や規約の一般的な考え方を整理したもので、個別の事案についての法的な助言ではありません。
8. 自社サイトと第三者サイトの情報が食い違ったままにする
GEO対策では、自社サイトだけを直して終わりにしないことも欠かせません。AIが回答を作るときは、自社の公式サイトだけでなく、比較サイト、専門メディア、ポータル、レビューサイトなど、いくつもの情報源が使われることがあります。次のような状態には注意が必要です。
- 公式サイトでは新しい料金になっているが、比較サイトは古い料金のまま
- 自社では対象の企業を変えたが、外部の記事では古い対象者が紹介されている
- 製品名やプラン名を変えたのに、第三者のサイトでは古い名前のまま
- サービスの内容が変わったのに、過去のプレスリリースだけが参照されている
こうした状態を放っておくと、AIの回答にも新しい情報と古い情報が混ざることがあります。実際に、弊社のサービスの料金・機能を変えたあと、2週間観測した実験では、Geminiが一度は新しい料金で答えたものの、翌日には古い情報に戻り、名前の似た別のサービスと混ぜて説明したこともありました(出典:株式会社FID/Genview「AIの回答はいつ最新になる?自社サービスの機能・価格変更を2週間、定点観測してみた」2026年8月)。
また、弊社の15業界450問の調査で、Google検索の上位10位に出たサイトのうちAIにも引用された割合をサイトのタイプ別に見ると、公式サイトだけでなく、比較サイト・メディア・アフィリエイトサイトなども、AIの情報源になっていました(出典:株式会社FID/Genview「Google検索の上位10位のサイトは、AIの回答でどれだけ登場(引用)されるのか?」2026年8月)。どのタイプのサイトが多く引用されるかは、業界によって違います。弊社の5業界の調査でも、法律事務所では公的機関や学会、化粧品では利用者の口コミやSNSの投稿が、ほかの業界より多く引用されていました(出典:株式会社FID/Genview「ChatGPTとGeminiが引用するサイトは、業界でこんなに違う」2026年9月)。
GEO対策では、「自社サイトに正しい情報を書いたか」だけでなく、「AIが実際に参照している情報源で、自社がどう説明されているか」まで確かめます。
AIに直接「訂正させる」だけでは変わらない
AIが誤った回答をしたとき、チャットの中で説明して訂正させることはできます。けれども、それはその会話の中だけの話で、ほかの人が同じ質問をしたときの回答は変わりません。
しかも、AIの回答は、会話の中の一言で大きく変わります。弊社の実験では、質問に「知り合いの皮膚科医が勧めていた」と一文足すと、AIのおすすめは120回中119回その商品に変わりましたが、AIがその一文を決め手と説明したのは4割ほどでした(出典:株式会社FID/Genview「AIに「その回答の根拠は?」と聞いても、返ってくるのは判断の根拠とは限らない 3つのAIに600回質問してわかったこと」2026年9月)。会話の中で答えが変わったように見えても、AIが自社の情報を正しく理解し直したとは限りません。
変えられるのは、AIが読んでいる情報のほうです。自社サイトの公式情報を正しく保ち、古いページを直し、第三者のサイトの情報の更新を依頼する。地道ですが、これが確実な方法です。
9. 引用数や、名前が出た回数だけをGEO対策のKPIにする
GEO対策を始めた会社が最初に追いかけがちなのが、引用数や、ChatGPTやGeminiに自社の名前が出た回数です。数えて、増えていれば成功と判断する。気持ちは分かります。目に見えやすい数字だからです。
けれども、名前が出ることと、推薦されることは同じではありません。「CRMとは何ですか?」という質問でAIが自社の名前を出すことと、「CRMを導入したい」という質問で自社が候補として挙がることは、意味がまったく違います。前者は情報の説明に使われているだけで、後者は候補選びに関わっています。出た回数が増えていても、それが購入の意図のない質問に集中しているだけなら、売上への影響は限られます。どの質問で、どんな文脈で出ているかのほうを見るべきだと私は思っています。
たとえば、次のようなケースがあります。
- 自社サイトが引用されたが、競合の会社だけが推薦された
- 自社サイトは引用されていないが、第三者のメディアを根拠に自社のブランドが紹介された
- ブランド名は出たが、特徴を間違えて説明された
- 比較の候補には入ったが、「この条件には向かない」と評価された
実際に、弊社の調査でも、名前が出ることと、自社サイトが引用されることは、別々に起きていました。Geminiは化粧品ブランドのキュレルの名前を62回答で挙げていましたが、キュレルのページを引用していたのは3回答だけでした(出典:株式会社FID/Genview「AIがあなたの会社の名前を出すとき、見ているのは自社サイトとは限らない」2026年9月)。
GEO対策の状態を見るときは、少なくとも次の指標を分けて考えます。
GEO対策で分けて確かめたい指標
| 指標 | 確かめること |
|---|---|
| AI引用 | 自社サイトが、回答の根拠のURLとして使われているか |
| ブランドの言及 | 自社名・商品名が、回答の本文に出ているか |
| 推薦・候補入り | おすすめ・比較の質問で、自社が選択肢に入っているか |
| 情報の正確さ | AIが説明する機能・料金・対象者などが正しいか |
| AI経由の流入・成果 | AI経由の訪問や問い合わせにつながっているか |
指標の決め方はGEO対策のKPIで、引用とは何かはAI引用とはで、AIに引用されることと売上の関係はAIに引用されても売上は増えないで解説しています。
名前を知られていることと、推薦されることは違う
「AIが自社の名前を知っている」ことと、「AIが自社を推薦する」ことも、別のことです。この違いを意識しないままGEO対策を進めると、施策の方向がずれます。
AIが自社を認識している状態とは、「この会社は存在する」とAIが分かっていることです。認識されているだけでは、特定の質問に対して自社が候補として出てくるとは限りません。「おすすめのCRMを教えて」という質問に自社が出てくるには、認識を超えた「推薦される理由」が要る、と私は考えています。
私の見立てでは、定義がはっきりしていて、比べられる文脈を持ち、特定の課題と結びついている会社ほど、AIの回答で候補に挙がりやすくなります。知名度があっても、これらが整っていなければ推薦されないことがあり、業界では無名でも、繰り返し推薦される会社もあります。
10. GEO対策を一度実施して終わりにする
GEO対策は、記事を直したり構造化データを置いたりした時点で終わる施策ではありません。AIの回答、Web上の情報、自社の商品・サービスは、続けて変わっていきます。次のような状態は避けたいところです。
- 記事を公開してから、AIの回答を一度も確かめていない
- サービスの料金を変えたが、外部のサイトの情報を確かめていない
- 一度引用されたので、その後の変化を確かめていない
- 制度・料金・仕様など、古くなる情報を載せたページを更新していない
- GEO対策の担当とSEOの担当が分かれていて、お互いの施策を共有していない
しかも、AIの回答は、同じ質問でも聞くたびに変わります。弊社の実験では、同じ質問を聞き直したときに、引用されたサイトが同じだった割合は、ChatGPTで32.6〜63.0%、Geminiで38.0〜53.2%でした(出典:株式会社FID/Genview「ChatGPTなどの生成AIは毎回違う回答をするのに、GEO対策は効果があるのか」2026年9月)。一度の確認で「出た」「出なかった」を判断することはできず、同じ質問を続けて確かめます。
SEOの順位だけで判断しない、SEOと切り離しもしない
SEOで上位に出ているから、AIでも大丈夫だと判断するのも、反対に、GEO対策をSEOとまったく別の取り組みとして切り離すのも、どちらも避けたい失敗です。
前述の450問の調査では、AIが引用したURLの75.0%は、同じ質問のGoogle検索の上位10位の外でした。SEOの順位だけでは、AIの回答で自社がどう扱われているかは分かりません。一方で、同じ調査を反対の方向から見ると、Google検索の上位10位に出たサイトのうち、AIにも引用された割合は43.6%で、公式サイトに限ると48.0%でした。「SEOは関係ない」という意味の数字でもありません。
SEOで整えてきたコンテンツ、サイトの構造、内部リンク、E-E-A-T、検索のデータは、GEO対策でもそのまま土台になります。Googleも、Google検索の生成AIの機能への最適化について、従来のSEOの基本や、独自で役に立つコンテンツを引き続き重視するよう案内しています。
GEO対策では、SEOにはなかった確かめる項目もあります。
- ChatGPTとGeminiで、回答が違っていないか
- 自社がどの質問で推薦されるか
- 自社について、正しく説明されているか
- 第三者のサイトのどの情報が引用されているか
SEOの基盤を生かしながら、「この質問に対して、AIが自社をどう説明しているか」という新しい見方を加える、という考え方が実態に近いと思います。GEOとSEOの違いはSEOとGEOの違いとは?8つの観点で比較で、施策を始める前の目的の決め方はAIに自社をどう答えてほしいか?GEO対策を始める前に決める「理想のAI回答」で解説しています。
GEO対策で迷ったときの判断基準
新しいGEO対策の施策や、「AIに効く」と言われるテクニックを見つけたときは、すぐに取り入れるのではなく、次の4点を確かめると判断しやすくなります。
- ユーザーにとって役に立つかAIがなかったとしても、その情報は読む人の判断に役立つか。
- 根拠を示せるか数値・比較・主張を、公式情報・一次情報・実際に測ったデータで説明できるか。
- 技術だけを目的にしていないかマークアップやファイルの設置ではなく、中身そのものに価値があるか。
- 実際のAIの回答で確かめられるか「効くと言われている」だけで判断せず、確かめたい質問で、引用・言及・推薦・説明の正確さを確かめられるか。
GEO対策は、AIを操作するための裏技を探す取り組みではありません。自社について正確で具体的な情報を公開し、第三者の情報との整合を保ち、ユーザーが実際にAIへ尋ねる質問で自社がどう扱われているかを確かめ続ける取り組みです。
よくある質問
AI生成コンテンツを使うこと自体が、GEO対策ではNGですか?
いいえ。AIを使って文章を作ること自体が問題なのではありません。生成された内容の正確さ・質・関連性を確かめ、必要に応じて一次情報や実務の経験を加えることが前提です。事実の確認をせず、価値の低いコンテンツを大量に公開する運用は避けるべきです。
GEO対策として、llms.txtを置くのはやめた方がよいですか?
一律にやめる必要はありません。Googleは2026年6月、llms.txtをGoogle検索では使わず、置いてもGoogle検索の上での見え方や順位にはプラス・マイナスの影響がないと説明しています。ほかのサービスやシステムが使うために置いておくことは問題ないともしています。llms.txtを「GEO対策の必須の施策」と考えず、置く目的をはっきりさせてください。
構造化データは、GEO対策に意味がないのでしょうか?
そういう意味ではありません。GoogleはAI OverviewsやAIモードに表示されるために専用の構造化データは必要ないとしていますが、構造化データ自体は、Google検索がページの内容を理解し、対応する検索の機能に使うための仕組みです。GEO対策では、構造化データだけで引用が増えると考えず、本文の情報と一致させたうえで補助的に使うのが適切です。
AIに自社を紹介してもらうために、ブランド名への言及を増やすべきですか?
自然な第三者からの言及やメディアへの掲載を増やすことと、AIへの見え方を操作する目的で不自然な言及を作ることは、分けて考えます。Googleも、AEO・GEO向けの特殊なハックを追うのではなく、SEOの基本や、独自で役に立つコンテンツを重視するよう案内しています。ブランド名を人為的に増やすより、第三者が紹介できる実績・データ・事例・専門の情報を増やすことを優先します。
社員に、自社の商品やサービスの口コミを書いてもらうのは問題ですか?
会社が関わっていることが表示されていない場合は、ステルスマーケティングに当たるおそれがあります。実際に使った社員が、社員であることを明らかにしたうえで感想を書くのであれば、会社の表示であることが分かるので、問題は起きにくくなります。判断が難しい場合は、消費者庁の運用基準を確かめ、専門家に相談してください。
代理店やツールにGEO対策を頼むとき、何を確かめればよいですか?
行う施策の中身を、具体的に示してもらってください。第三者のサイトへの投稿や編集を行う場合は、誰の名前で、どう開示するのかを確かめます。発覚したときに責任を問われるのは、依頼した会社です。また、「Google公認」「必ずAIに引用される」のような、公式のお墨付きや成果の保証をうたう提案には注意してください。ツールを選ぶときは、1回の結果ではなく、同じ質問を続けて測れるかも確かめます。
GEO対策とSEOは、別のチームで担当してもよいですか?
組織として担当者を分けること自体に問題はありません。施策を完全に切り離すことは避けます。SEOのコンテンツ・サイトの構造・内部リンク・検索のデータは、GEO対策でも使えます。GEO対策では、AIの回答の言及・引用・推薦・情報の正確さという、追加の見方が要ります。お互いのデータと改善の施策を共有できる体制にしてください。
まとめ
GEO対策でやってはいけないことに共通しているのは、「AIに選ばれること」そのものを目的にしてしまうことです。避けたいのは、次の10個です。
- 自社が何者かを定義しないまま、施策を始める
- AI向けの不自然な文章やキーワードを詰め込む
- AI生成コンテンツを確認せず大量公開する
- 一次情報のない一般論だけでコンテンツを増やす
- 構造化データやllms.txtだけでGEO対策が終わったと思う
- 必要なAIクローラーを、知らないうちにブロックしている
- 第三者の情報を、不正に操作しようとする
- 自社サイトと第三者サイトの情報が食い違ったままにする
- 引用数や、名前が出た回数だけをGEO対策のKPIにする
- GEO対策を一度実施して終わりにする
FAQ・構造化データ・llms.txtは役に立ちます。引用数を見守ることも必要です。けれども、それらは手段であって、本質ではありません。GEO対策の本質は、AIに「この会社・人・サービスは何者で、何に強く、どの文脈で参照できるか」を、一貫して認識してもらえる状態を作ることです。
そのために、自社にしかない一次情報を整え、公式の情報と第三者の情報の整合を保ち、SEOの基盤を生かしながら、実際のAIの回答を続けて確かめていくことが、GEO対策の基本です。これからGEO対策を実際に進める場合は、前に紹介した「GEO対策の始め方」で、今の状態の確かめ方から、質問の決め方、サイト・コンテンツの改善、効果の測り方までの流れを解説しています。
Genview のご案内
AIの回答で自社がどう扱われているかを続けて測りたい方は、Genview をお使いください。
測った結果から、どの質問で何を直すかまで知りたい方には、コンサルプラン(戦略策定・改善提案・運営代行)をご用意しています。