AIに自社をどう答えてほしいか?GEO対策を始める前に決める「理想のAI回答」
GEO対策で最初に決めるのは、構造化データやFAQ、llms.txtといった施策ではなく、ChatGPTやGeminiに自社をどう説明してほしいかだと考えています。この記事では、それを「理想のAI回答」と呼びます。
たとえば、EC・通販の事業者向けのCRMなら、「EC・通販事業者向けに、LINE・メール・顧客データを一つにまとめて扱えるCRM。『EC向けのCRMのおすすめは?』と聞かれたら、候補に挙がる」のように、1〜2文で書けるところまで決めます。
構造化データも、FAQも、llms.txtも、外部メディアへの掲載も、必要になるかもしれません。ただ、どれから手を付けるかは、自社をどう説明してほしいかが決まっていないと選べません。理想が決まっていなければ、ChatGPTやGeminiの回答を見ても、それが良いのか悪いのかを判断できないからです。
理想の文があれば、今のAIの回答のどこがずれているかを確かめられます。
ここでいう「理想のAI回答」は、ユーザーの質問に記事がどう答えるか、というコンテンツの側の答えではありません。ChatGPTやGeminiが自社について答えるとき、自社をどう説明してほしいか、という企業の側の理想です。
この記事では、なぜ理想のAI回答から決めるのか、どう決めるのか、決めたあと何を確かめるのかを、弊社の調査と実験のデータとあわせて整理します。
- AIの回答は聞くたびに変わる。引用されるサイトも、半分前後が入れ替わる
- AIに「根拠は?」と聞いても、判断の記録は返ってこない。最初の回答と同じURLが返ってきたのは、Geminiで2%だった
- 名前が出ても、自社サイトが引用されているとは限らない
- 理想のAI回答とは、AIに自社を「何の会社として、誰向けに、どんな強みで」説明してほしいかを、企業の側で決めたもの。これが決まって初めて、今の回答とのズレが分かり、打つ手を選べる
この記事で扱う範囲理想のAI回答とは/施策から始めない理由/AIの「認識」の見方/理想のAI回答の決め方/根拠の要る理由/今の回答の確かめ方/ズレの原因の探し方
関連動画:【必須】AI検索対策を始める前に|自社の説明を5項目で書き出すテンプレ【GEO対策】
理想のAI回答は、ユーザーへの答えではなく「自社の説明」
「理想の回答」という言葉は、2つの意味で使われています。どちらの話をしているかで、やることが変わります。
「理想の回答」の2つの意味と、この記事で扱うもの
| ユーザーの質問への理想の答え | 理想のAI回答(この記事) | |
|---|---|---|
| 誰の立場か | 記事を書く人・読む人 | AIに説明される企業 |
| 何を決めるか | 質問に、記事の冒頭で何と答えるか | AIが自社について答えるとき、自社をどう説明してほしいか |
| 使いみち | 記事の書き方(結論を先に書く、など) | 今のAIの回答と比べて、ズレを見つける物差し |
記事の書き方の話は、SEO対策とGEO対策で、記事の書き方は違うのか?で扱っています。この記事は、右の列の話です。
GEO対策を、施策から始めない理由
GEO対策を調べると、すぐに「何をすればいいか」が並びます。
- 構造化データを入れる、FAQを増やす、llms.txtを置く
- AIのクローラーを許可する、一次情報を増やす、外部メディアで言及を増やす
分かりやすいので、ここから始めたくなります。ただ、先に施策を選ぶと、その施策で何を直したいのかがあいまいになります。
FAQを足しても、今のAIの回答で何が足りないのかが分からなければ、そのFAQが要るのかを判断できません。外部メディアで言及を増やしても、どんな文脈で自社を説明してほしいのかが決まっていなければ、社名が出るだけで終わるかもしれません。施策は、理想と今の回答のズレを埋めるために選ぶもの、というのが私たちの立場です。
AIの「認識」は、実際の回答で見る
「AIに自社がどう認識されているか」と言うと、AIの中に「この会社は○○の会社だ」という決まったプロフィールがあって、それを確かめられるように聞こえます。けれども、企業の側からAIの中を見ることはできません。
AIに聞けば分かる、とも言えません。弊社の実験では、AIに「その回答の根拠のURLは?」と聞いても、最初の回答に表示されていた参考リンクと同じURLが返ってきた割合は、ChatGPTで39%、Perplexityで15%、Geminiで2%でした。会話の一言でおすすめが120回中119回変わったときも、その一言を決め手と説明したのは4割でした(出典:株式会社FID/Genview「AIに「その回答の根拠は?」と聞いても、返ってくるのは判断の根拠とは限らない 3つのAIに600回質問してわかったこと」2026年9月)。
AIの説明は、AIが実際に何を見て決めたかの記録ではありません。そこでこの記事では、「認識」を、実際のAIの回答の中で自社がどう説明されているか、という外から確かめられる状態として扱います。
ここからは、理想のAI回答を決めて、今の回答と比べるまでを4つの手順で進めます。
手順1 理想のAI回答を、5つの項目で言葉にする
理想のAI回答は、「AIに出たい」「おすすめされたい」ではありません。少なくとも、次の5つを言葉にします。
- 何の会社・サービスとして説明されたいか例:メール配信ツールではなく、CRM・マーケティング支援ツール
- 誰に向けたサービスか例:中小企業全般ではなく、EC・通販の事業者
- どんな課題を解決するか例:リピート購入が増えない、顧客データがばらばら
- どんな強みで説明されたいか例:LINE・メール・顧客データを一つにまとめて扱える
- どんな質問・検討の場面で候補になりたいか例:「EC向けのCRMのおすすめは?」と聞かれたとき
5つがそろうと、理想のAI回答を1〜2文で書けます。たとえば「EC・通販事業者向けに、LINE・メール・顧客データを一つにまとめて扱えるCRMで、リピート購入を増やしたい会社に向いている。『EC向けのCRMのおすすめは?』と聞かれたら、候補に挙がる」。この文が、今のAIの回答と比べるときの物差しになります。
AIに自社をどう理解してもらうかの考え方と、会社・ブランドの情報の整え方は、AIに自社を正しく認識(言及・推薦)してもらうには?会社・ブランド情報を整える方法で解説しています。Genviewのブランド認識改善では、理想の説明と実際の回答のズレを、AIごとに確かめられます。
確かめること:書いた1〜2文に、5つの項目がそろっているか。抜けている項目があると、今の回答のどこが足りないのかを比べられません。
手順2 理想の説明に、確かめられる根拠があるかを見る
理想を決めるときに忘れがちなのが、「そう説明されるだけの根拠が、本当にあるか」です。
「サポートが手厚い」「高品質」「導入しやすい」「業界に強い」は、どれも抽象的です。AIが会社やサービスを比べて説明するときの材料になるのは、対応範囲、料金、機能、導入社数、導入事例、調査結果、利用条件のような、確かめられる情報です。「数字を出せばAIに選ばれる」という話ではありません。自社が言いたい強みを、確かめられる情報で説明できる状態にしておく、ということです。
理想のAI回答は、広告のコピーではありません。実態に基づいて、どう説明されたいかを決めるものです。根拠になる情報の作り方は、GEO対策で使う一次情報の作り方で解説しています。
確かめること:理想の文に書いた強みの1つずつに、料金・機能・導入事例のような、外から確かめられる情報が自社サイトにあるか。
手順3 今のAIの回答を、何度か聞いて確かめる
理想を決めたら、ChatGPTやGeminiに実際に聞いて、今の回答を確かめます。聞くのは、自社名、サービス名、自社が属するカテゴリ、比較やおすすめの質問、ユーザーが抱える具体的な課題の質問などです。どの質問を選ぶかは、GEO対策のクエリ設計とは?自社名なしで候補に入っているかを確かめる3つの軸で解説しています。
1回聞いただけでは判断しません。同じ質問を聞き直すと、AIが引用するサイトは半分前後が入れ替わるからです。それでも、同じ名前が挙がり続ける質問もあります。何回か聞いて「何回中何回」で見れば、傾向はつかめます。数字と、条件のそろえ方はGEO対策のKPIで解説しています。
情報を更新した直後も、回答はまっすぐには変わりません。弊社が料金と機能を変えたとき、Geminiは一度新しい料金で答えたあと、翌日に古い情報へ戻り、名前の似た別の会社と混ぜて説明しました(出典:株式会社FID/Genview「AIの回答はいつ最新になる?自社サービスの機能・価格変更を2週間、定点観測してみた」2026年8月)。
確かめること:決めた質問を何回聞き、そのたびに、理想の文の5つの項目のうちいくつが回答に入っていたか。
手順4 ズレが分かってから、原因を探す
理想と今の回答にズレが見つかったら、なぜそのズレが起きているかを調べます。「EC向け」がAIの回答に出てこないなら、公式サイトにはっきり書かれているか、サービスページで説明しているか、EC企業の導入事例があるか、比較サイトや第三者のメディアでどう紹介されているか、AIがどのURLを引用しているかを確かめます。
自社サイトだけを見ても、原因は分からないことがあります。AIが会社の名前を出していても、その会社のサイトを引用しているとは限らないからです(出典:株式会社FID/Genview「AIがあなたの会社の名前を出すとき、見ているのは自社サイトとは限らない」2026年9月)。5業界の各30問をChatGPTとGeminiに6回ずつ聞いた調査では、AIが何を見ているかは業界でも違い、法律事務所では公的機関や学会、化粧品では口コミやSNSが、ほかの業界より多く引用されていました(出典:株式会社FID/Genview「ChatGPTとGeminiが引用するサイトは、業界でこんなに違う」2026年9月)。
原因が見えて初めて、サービスページを直す、導入事例を足す、FAQを足す、構造化データを入れる、外部の情報の誤りを直してもらう、一次情報を出す、といった施策の順番を決められます。この先の進め方(今の回答の測り方から、自社の情報・第三者の情報の整え方、測り直しまで)は、GEO対策の始め方で解説しています。
確かめること:ずれていた項目ごとに、AIが引用したのが自社サイトか、外部のサイトか。
よくある質問
理想のAI回答とは何ですか?
ChatGPTやGeminiが自社について答えるとき、自社をどう説明してほしいかを、企業の側で決めたものです。何の会社として、誰向けに、どんな課題を解決し、どんな強みで、どんな質問の場面で候補になりたいかを言葉にします。ユーザーの質問に記事がどう答えるか、というコンテンツの側の答えとは別のものです。
GEO対策では、最初に構造化データを入れるべきですか?
そうとは限りません。先に理想のAI回答を決め、今の回答とのズレを確かめます。そのズレを埋めるのに構造化データが要るなら入れます。どの施策も、理想と今の回答のズレを埋めるために選ぶものです。
AIにどう認識されているかは、AIに直接聞けば分かりますか?
聞けば、その時点の回答は分かります。ただ、それをAIの中の決まった認識と考えるのは正しくありません。弊社の実験では、AIに根拠のURLを聞いても、最初の回答の参考リンクと同じURLが返ってきた割合は、Geminiで2%でした。質問・AI・時期で回答は変わるので、決めた質問を何度か聞いて確かめます。
自社サイトの書き方をそろえれば、AIの回答も安定しますか?
それだけでは保証されません。AIの回答には、自社サイトのほかに、外部のメディアや比較サイトなどの情報も使われます。まず公式の情報をそろえ、そのうえで外部の情報と、実際のAIの回答とのズレも確かめます。
最初の一歩は、理想のAI回答を1〜2文で書くこと
まずは「AIにこう説明してほしい」という文を、1〜2文で書いてみてください。書けたら、その文を横に置いて、ChatGPTとGeminiに自社のカテゴリの質問を何度か聞きます。
GEO対策全体の考え方は、GEO対策とはで解説しています。
Genview のご案内
決めた理想のAI回答と、実際の回答とのズレを、AIごと・質問ごとに続けて確かめたい方は、Genview をお使いください。
理想のAI回答をどう言葉にするか、ズレから何を直すかまで一緒に考えたい方には、コンサルプラン(戦略策定・改善提案・運営代行)をご用意しています。