推論(Inference)とは|意味・読み方・学習(Training)との違い
推論(Inference)とは、学習済みのAIモデルが入力データを受け取り、回答や出力を生成するプロセスのことです。
英語表記:Inference(読み方はインファレンス。日本語では「推論」)
機械学習では、モデルにデータを学ばせる段階を「学習(Training)」、学習済みのモデルが実際に動く段階を「推論」と呼び分けます。ユーザーがChatGPTやGeminiに質問を入力し、AIが回答を生成する処理全体が推論にあたります。
この言葉の基本
推論(Inference)という言葉の読み方・分野・対になる言葉
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 英語表記 | Inference |
| 読み方 | すいろん(英語はインファレンス) |
| 分野 | 機械学習・生成AI |
| 対になる言葉 | 学習(Training) |
| 起きるタイミング | ユーザーが質問するたび |
| 混同しやすい言葉 | 推論モデル(reasoning model)。回答の前に内部で推論用のトークンを使うモデルのことで、ここでいう推論(Inference)とは別の意味 |
「推論モデル」の「推論」は、英語では reasoning で、inference とは別の語です。OpenAIは推論モデルを、回答を出す前に内部の推論用のトークンを使うモデルと説明しています(OpenAI|Reasoning models)。推論モデルが回答を作る処理も、このページでいう推論(Inference)にあたります。
推論という言葉が使われる文脈
LLM(大規模言語モデル)の推論は、トークンを順番に生成していく処理です。入力されたテキスト(プロンプト)を受け取り、次に来る可能性が高いトークンを確率的に選びながら出力を作ります。
LLMの推論は計算量が大きく、GPUなどの計算資源を使います。そのため、AIサービスの応答速度や運用コストを語る場面で「推論コスト」「推論効率」という言い方がよく使われます。
学習(Training)との違い
機械学習のライフサイクルは、大きく学習と推論の2つの段階に分かれます。
学習(Training)と推論(Inference)の内容とタイミングの違い
| 段階 | 内容 | タイミング |
|---|---|---|
| 学習(Training) | 大量のデータから、モデルのパラメータを調整する | モデルの開発・更新時 |
| 推論(Inference) | 学習済みのパラメータを使い、入力から出力を生成する | ユーザーが質問するたび |
学習はパラメータを更新する処理で、推論はパラメータを固定したまま出力を作る処理です。推論をしている最中に、モデルのパラメータが書き換わるわけではありません。
似た言葉との関係
Retrieval・RAG
推論には、モデル内部の知識(学習で身につけた知識)だけで答える場合と、検索で取得した情報を入力に加えて答える場合があります。後者の仕組みはRAG(検索拡張生成)と呼ばれ、Lewisらの論文「Retrieval-Augmented Generation for Knowledge-Intensive NLP Tasks」(2020年)で提案されました。この論文では、モデル内部の知識を「parametric memory」、外部の情報源を「non-parametric memory」と呼んでいます。
RAGでは、まず関連する文書を取得し(Retrieval)、その内容を入力に付け加えたうえで、LLMが推論を行います。
ユーザーの質問 → 関連する文書を取得(Retrieval)→ 取得した文書を入力に付け加える → LLMが入力全体から回答を生成(推論)→ 回答を出力
文書が取得されることと、推論で実際に回答に使われることは、別の段階です。
Grounding
Groundingは、推論で作る回答を、外部の情報やデータなどの根拠に結び付けることを指します。推論は回答を生成する処理そのもので、Groundingはその回答が何に基づいているかの話です。
ハルシネーション
ハルシネーション(事実と異なる内容をもっともらしく生成する現象)は、推論の段階で起きます。
GEO対策における位置づけ
AIが回答を作り、その中で情報源を引用・参照するのは推論の段階です。学習データに含まれることと、推論のときに参照されることは、別の段階の話として分けて考えます。
同じChatGPTでも、質問の内容によって、モデル内部の知識だけで答えるか、Webを検索してから答えるかが変わります。
推論が、AI検索の仕組みの中でどこに当たるかは、AI検索の仕組みとはで解説しています。
よくある誤解
AIに学習されれば引用される
学習データに含まれることと、推論のときに参照・引用されることは別のことです。推論のときの入力や質問の内容によって、参照される情報は変わります。
推論と学習は同じ処理
学習はモデルのパラメータを更新する処理で、推論は固定されたパラメータを使って出力を作る処理です。会話をしている最中に、その内容でモデルが学習し直されるわけではありません。
推論の結果は一定で変わらない
モデルの更新、システムプロンプトの変更、検索連携の有無など、推論の結果はさまざまな要因で変わります。同じ質問でも、時期によって回答が異なることがあります。
推論に関連する用語
推論(Inference)に関連する用語と、その意味
よくある質問
推論は英語で何といいますか?
Inference(インファレンス)といいます。機械学習では、学習済みのモデルが入力を受け取り、出力を生成する処理を指します。
推論されることと、学習されることは同じですか?
違います。推論は学習済みのモデルが回答を生成する処理で、学習はモデルのパラメータを更新する処理です。
推論とRAGはどう違いますか?
推論は、モデルが回答を生成する処理そのものです。RAGは、検索で取得した情報を入力に加えてから推論させる仕組みです。RAGを使わず、モデル内部の知識だけで推論する場合もあります。