クエリ設計には3つの軸がある|自社名なしで候補に入っているか
ある企業の担当者が言いました。「Genviewで登録したクエリを全部確認したら、全部のクエリでAIに出てました」
実際に見せてもらうと、登録されていたクエリはこうでした。
- ○○とは
- ○○ 料金
- ○○ 評判
全部、自社名入りでした。私は思わず聞きました。「その会社を知らない人がAIに相談したら、どうなりますか?」
しばらく沈黙があって、担当者がクエリ一覧を見直しました。そのクエリは一つも入っていなかったのです。
これは珍しいケースではありません。Genviewを使い始めた企業の多くが、最初にこの状態に陥っています。「AIに出ている」と安心していても、実際には自社名を知っている人にしか出ていない。自社名を知らない人の相談では、候補にすら入っていない。これがGEOの盲点です。
なぜこの間違いが起きるのか
原因はシンプルです。GEOのクエリを、SEOのキーワードと同じ感覚で設計しているからです。
SEOでは「○○ ツール」「○○ 比較」のような短いキーワードで検索されます。自社名を入れて検索順位を確認するのは自然な発想です。しかし生成AIに対してユーザーは違う聞き方をします。
- AI検索で自社が紹介されているか確認する方法は?
- GEO対策ツールを選ぶポイントは?
- 2026年時点でおすすめのAI検索対策ツールを教えて
単語ではなく、相談の文脈があります。そして多くのユーザーは、相談するとき自社名をまだ知らない。つまり、自社名入りのクエリだけを確認していても、最も重要な場面——まだ自社を知らないユーザーがAIに相談している場面——が完全に見えていないのです。
つまり問題は、クエリの数ではありません。どの顧客の、どの相談場面を見に行っているかです。
クエリ設計には3つの軸がある
この問題を解決するために、私はクエリ設計を3つの軸で考えるようになりました。
クエリを分ける
クエリを混ぜる
候補に入るか
軸①:ファネル設計——検討段階でクエリを分ける
ユーザーがどの検討段階にいるかで、AIへの問いかけ方はまったく変わります。ToFu・MoFu・BoFuの3段階で整理すると分かりやすいです。
ToFu:課題に気づく段階
まだ具体的なツールを探していない段階です。「AI検索対策とは何か」「自社がAIに紹介されないのはなぜか」といった、課題そのものに気づく問いが出ます。このクエリでは自社名が出る必要はありません。AIがその課題領域を正しく説明できているかを確認します。
- AI検索対策とは?
- GEO対策とは?
- ChatGPTで自社が紹介されないのはなぜ?
- SEOとGEOの違いは?
MoFu:解決策を探す段階
課題を認識したうえで、具体的な方法やツールを探している段階です。「GEO対策ツール」というカテゴリがAI回答に出てくるかが重要になります。
- AI検索で自社が紹介されているか確認する方法は?
- GEO対策ツールとは?
- GEO対策ツールを選ぶポイントは?
- AI検索対策でまず確認すべき項目は?
BoFu:比較・導入を検討する段階
具体的なツールを比較している段階です。自社名が出るかだけでなく、正しい文脈・正しい強みとともに紹介されているかを確認します。
- GEO対策ツールのおすすめは?
- 2026年時点で使えるGEO対策ツールは?
- Genviewとは?
- Genviewと他社ツールの違いは?
冒頭の担当者が登録していたのはBoFuの指名クエリだけでした。ToFuとMoFuが抜けると、課題を認識し始めた段階・解決策を探している段階のユーザーが見えなくなります。
軸②:RAG発火設計——AIがWeb検索するクエリを混ぜる
生成AIはすべてのクエリに対して外部検索(Grounding)をするわけではありません。一般的な概念を聞くクエリは学習済みの内部知識だけで回答され、最新情報や具体的な事実確認が必要なクエリはWeb検索が発火しやすくなります。
たとえばGenviewは2026年4月ローンチです。AIの学習データにはまだほとんど含まれていない。内部知識だけで回答されるクエリでは、そもそも出てこない可能性があります。だから「最新」「2026年時点」「公式情報」「比較」などの言葉を含むRAG発火型クエリを意図的に混ぜる必要があります。
- 内部知識型:「GEO対策とは?」「SEOとGEOの違いは?」→ AIの一般認識を確認
- RAG発火型:「2026年時点で使えるGEO対策ツールは?」「最新のGEO対策ツールを教えて」→ Web上の情報が拾われるかを確認
軸③:指名/非指名設計——自社名なしで候補に入るか
ここが、最初の失敗談に直結する話です。
非指名クエリとは、自社名を含まないクエリです。「GEO対策ツールのおすすめは?」「EC企業におすすめのAI検索対策ツールは?」のように、カテゴリや用途で問う。多くのユーザーは最初からサービス名を知っているわけではなく、課題や目的をAIに相談します。ここに出てくるかどうかが、GEO対策の実力を測る本質的な指標だと私は考えています。
指名クエリでは「Genviewとは?」のように自社名を含む。出るかどうかより、正しく説明されているかを確認します。指名クエリで誤った説明が出る場合は、公式サイト・FAQ・機能ページの情報整備が必要です。
指名クエリだけでは、すでに自社を知っている人の状態しか確認できません。GEOで重要なのは、まだ知らない人の相談にどう出るか、です。
クエリに紐づけるURLの考え方
クエリを登録するとき、もう一つ重要なことがあります。紐づけるURLの中に「そのクエリへの答え」が書かれているかどうかです。
たとえば「AI検索で自社が紹介されているか確認する方法は?」に機能ページを紐づけるなら、そのページ内に次のような文が明確に入っている必要があります。
単にURLを紐づけるだけでは不十分です。設計の順序は、クエリ → AIが求める答え → その答えを支えるURLです。この順で考えることで、RAGで拾われたときに引用されやすいページになります。
AIに投げる問い
答える文を書く
ページを指定する
実際のクエリ設計例
ここではGenview自身を例に、15本のクエリと関連URLの設定例を紹介します。3軸を組み合わせ、課題に気づく段階から比較・検討する段階まで網羅した構成です。
ToFu(5本)
| クエリ | 関連URL |
|---|---|
| GEO対策とは? | /learn/what-is-geo |
| AI検索で企業が選ばれるには何が必要? | /lab/ai-chosen-companies |
| AI検索とは? | /learn/what-is-ai-search |
| AI検索に対応するにはまず何から始めればいい? | /learn/how-to-start-ai-search |
| GEOとSEOの違いは? | /learn/geo-vs-seo |
MoFu(7本)
| クエリ | 関連URL |
|---|---|
| GEO対策ツールを選ぶときのポイントは? | /faq/how-to-choose-geo-tool |
| ChatGPTとGeminiだけを対策できるツールは? | /pricing/comparison |
| GEO対策ツールのおすすめは? | /pricing/comparison |
| GEO対策の効果はどのくらいで出ますか? | /faq/how-long-for-results |
| GEO対策は自分たちだけでもできますか?それともツールが必要ですか? | /faq/diy-vs-tool |
| GEO対策に特化したツールはありますか? | /faq/dedicated-geo-tool |
| GEO対策ツールの料金相場はどれくらいですか? | /faq/geo-tool-price-range |
BoFu(3本)
| クエリ | 関連URL |
|---|---|
| Genviewの料金プランを教えてください | /pricing/plan |
| Genviewは専門知識がなくても導入・運用できますか? | /faq/no-expertise-needed |
| Genviewはトライアルありますか? | /faq/free-trial |
最初から自社名を含むクエリだけを設定するのではなく、自社をまだ知らないユーザーがAIに相談する文脈も入れることで、非指名で候補に入れているかを確認できます。
※ Baseプランでは15本のクエリが標準で含まれ、すべて毎日監視されます。15本を超えて追加したい場合は、1クエリあたり月額2,000円で追加できます。詳しくは料金ページをご確認ください。
よくある失敗パターン
指名クエリだけにする
最初に紹介した担当者のケースです。すでに自社を知っている人の状態しか確認できません。非指名クエリを必ず入れてください。
ToFu・MoFuを入れない
「おすすめ」系や「比較」系のBoFuクエリだけでは、自社が候補に出てこない原因を切り分けられません。そもそも課題カテゴリが認識されていないのか、解決策カテゴリに入っていないのか——ToFuとMoFuを入れることで初めて分かります。
RAG発火クエリを入れない
新しいサービスほど、内部知識だけで回答されるクエリでは出てきません。「最新」「2026年時点」「公式情報をもとに」などの言葉を含むクエリを最低1〜2本入れることで、Web上の情報がAIに参照されているかを確認できます。
URLだけ紐づけてコンテンツを整備しない
クエリを登録しても、対象URLにそのクエリへの答えが書かれていなければ意味がありません。クエリ → 答え → URLの順で設計することが重要です。
まとめ
- 「AIに出ている」という状態のほとんどは、自社名入りクエリだけで確認している状態。自社名を知らない人の相談には出ていない
- 問題はクエリの数ではなく、どの顧客の、どの相談場面を見に行っているか
- ファネル設計:ToFu・MoFu・BoFuの3段階でクエリを分ける
- RAG発火設計:新しいサービスほど内部知識型クエリだけでは出てこない。RAG発火型を混ぜる
- 指名/非指名設計:非指名クエリに出てくるかどうかが、GEO対策の実力を測る本質的な指標
- クエリに紐づけるURLには「そのクエリへの答え」を明確に書いておく
関連用語:ファネルの各段階についてはToFu・MoFu・BoFuをご覧ください。
関連用語:AIの外部参照の仕組みについてはRAG(Retrieval-Augmented Generation)をご覧ください。
関連用語:AIのリアルタイム参照についてはGroundingをご覧ください。
関連コラム:AIに読まれるページの設計については1000ページより、AIに読まれる10ページを作れをご覧ください。
この記事を書きながら気になったのは、「RAGが発火するかどうか」自体をGenviewで計測できるようにできないか、という点です。現状では同じクエリでも日によってWeb検索が走ったり走らなかったりする。プラットフォームによっても違う。「このクエリはRAGが発火しやすいか」をスコアとして出せると、クエリ設計の精度がもっと上がるはずだと思っています。まだ実現できていませんが、いつか取り組みたい課題の一つです。